1. レンタルショップに入っているのはどのようなテナントか (会社、既店、プロ、アマ、年齢取扱商品等)
常設店を有している会社ではなく、イベント出店をなさっている個人が多く、これを機に初めて販売をしてみるという方も少なくありません。年齢は30代~50代、ハンドメイド雑貨の販売やセレクトショップを行う方が多いと言えます。
2.レンタルショップ希望者は次々現れるものか (切れ目なくテナントが集まるのか)
粉浜商店街のケースで言えば、レンタルショップ事業の開始後、3ケ月間程度で軌道に常時使用者がいる状態になりました。当初は広く折り込みチラシを配布しましたが効果がなく、商店街の商業者やレンタルショップ使用者の口コミで使用者が増えていきました。切れ目なく使用者がいるとまでは言えませんが、複数回、使用される方もいるため、稼働率は高いと言えます。
3. テナント店は1週間の営業でペイするものなのか
手作り雑貨の販売等、利益率の高い商売が多いこと。また、お一人で販売される方がほとんどであること。さらには、レンタルショップの1回の使用料をお小遣いで払える程度に設定していることなどから、「採算割れ」の方は少ないと思われます。
4. 30万円以上売り上げたテナントはどんなテナントか
6日間で30万円程度の売上高を達成される方には、大きく2つのタイプがいらっしゃると捉えています。一つは、ハンドメイド雑貨、婦人服などを販売される方々で、イベントや催事に出店経験が豊富であり、その場所にあわせて品揃えや販売価格を工夫されています。もう一つは、服飾雑貨、靴や鞄などのメーカーや卸売会社で、在庫処分や市場調査を目的とされ、かなりの低価格で薄利多売をされています。
5. レンタルショップ希望者で商店街の反対で取り下げた案件はないのか
レンタルショップに出店して頂いている最中に他店から抗議があり、使用を中止したというケースはありません。これは恐らく、使用申し込みの際に商店街で出店の適否を協議・判断しているためと思われます。
6. テナント募集でのトラブルはないのか
今のところ、特に大きなトラブルはありません。しいてあげるとすれば、レンタルショップの使用申し込みや問い合わせは、ホームページを通じて行い労力の低減を図っていますが、やはり商店街事務局に電話をかける方も多く、担当者事務員さんの仕事が増えています。
7. レンタルショップ店が新規開業した割合は?
基本的に、レンタルショップを使用される方は長期的な出店は望んでおらず、短期出店を繰り返したいという方が多いようです。よって、これまでのところ、商店街のレンタルショップを使用した方が、その商店街で常設店舗を開設されたケースはありません。
(但し、まもなく、そのような例が1件、誕生する見込みです)
8. 商店街のリーダーシップを発揮するために苦労したことは
レンタルショップシステムは、多額の費用や多数の人員を要するものではないため、既存店との競合、売り逃げなどの詐欺的行為などの防止に配慮すれば、店主や家主から大きな抵抗が出るものではありません。
しかし、多数の家主たちに事業の目的や仕組みを知らせること、最初の賛同者(レンタルショップを行う家主)を確保するためには、粘り強い根気と一定の時間が必要でした。
9. 不動産所有者の合意形成はどう進めたのか (メリットを提示しただけで合意につなげることができたのか)
事業の開始までに、何度も「大家さん会議」を開催し、そこで、長所や短所を説明して疑問を解消し、また短所については、その改善方法を話し合い、レンタルショップのシステムを充実させて行きました。このようなプロセスを通じて、大家さんのコンセンサスを得ていったと言えます。
10. 他に現金収入の途があり、空き店舗を使わせるという概念のない、地主・家主への対応・対策はどのように行えばよいか
やはり、まずは、自らも商店街の一員であるという意識を持って頂く。そのために、レンタルショップ事業は、家主のために行う商店街事業と位置づけ、これを家主にご理解を頂くことが必要だと思います。そして何より、考えられるリスクに対し、これを低減させる方策・工夫を講じ、家主の不安を解消する。さらに、空き店舗にかかる商店街会費の見直しなど、レンタルショップに参加することで実利が得られる条件・環境を整える。これらを大前提として、家主に対し、商店街や地域のために協力をお願いするという姿勢をとる。これのような積み上げが効果的だと考えます。
11.「家主・貸付型」は他の商店街でも活用できるのか
レンタルショショップ事業はどんな商店街でも導入可能です。
また、粉浜商店街のレンタルショップは、商店街内外のどなたでも使用することができると定めています。使用者を制限するかどうか、どのような基準で制限するかについては、レンタルショップ事業を導入する際、そして、導入後も、常に商店街と家主で話し合い決定しています。
12.インターネットシステムの作成費用は
レンタルショップ事業で用いるホームページは、特殊なホームページではありませんので、その作成を外注するとすれば、一般的な価格になると思われます。
但し、粉浜商店街が使用しているレンタルショップ用のホームページは、当社(㈱プランニングコンサルタント)が作成・運営し、複数の商店街が低額で共用できるシステムにしてあります。商店街ごとに自前でレンタルショップ用のホームページを作成する必要はありませんので、ぜひご活用をご検討ください。
13.期間限定の仮設テント、公園や河川敷での(仮設)レンタルショップ運営は可能か
空き店舗を活用するレンタルショップ事業とは目的が異なりますが、同様の原理、当社のシステムを用いて、イベントや貸し会場などの運営をされている商店街さんもあります。ご要望が多ければ、前記、複数商店街で共用するホームページにその機能を付加していきます。
14.成功事例の話をしていただいたが、失敗事例はないのか。失敗事例に共通していえることは何か
粉浜商店街ではありませんが、「商店街・借り上げ型」で2件のレンタルショップを2年間運営したという事例があります。その1件は次第に利用者が減少し閉鎖に至りました。また、もう1件は長期使用の希望者が現れたため家主に紹介し、レンタルショップとしての利用を廃止したという事例があります。
レンタルショップ事業の継続にやはり商店街をあげてPRするという姿勢が必要であり、結果的に長期契約が実現してレンタルショップが減少したとしても、それは根本的な目的である空き店舗の解消が実現したと捉えています。